研究課題/領域番号 |
08226214
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 肇 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (60159019)
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研究分担者 |
山本 潤 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10200809)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 高分子溶液 / 粘弾性効果 / 複雑流体 / 臨界現象 / 個別運動 / 相分離ダイナミクス / レーリー散乱 / 動的対称性 |
研究概要 |
申請者らは高分子溶液系において、粘弾性効果が臨界現象・相分離現象に決定的に重要な影響を及ぼし得ることを見出した。そして、これらの現象が、《動的対称性(成分間の分子ダイナミクスの対称性》という新しい概念により包括的に説明できる可能性があることを示した。本研究では、これらの予備的な成果をもとにより定量的な研究を行い、《高分子系は古典流体系と同じ仲間(動的普遍性のクラス)に属するか否か?》という根本的な問いに明確に答えたい。さらに、この現象の物質種を越えた普遍性を検証したい。また、複雑流体の個別運動が、臨界現象・相分離現象に直接影響を与える可能性があり、この点を検証することは、相転移現象における集団運動と個別運動の関係を理解する上で意義深いと考えられる。本年度は、研究計画に示した当初の予定通り、以下の様に研究を進めてきた。 (1)安定領域の臨界ダイナミクス: 正確なレーリー線幅の測定は、濃度ゆらぎの臨界ダイナミクスへの粘弾性効果への影響を明らかにする上で不可欠であり、光源として本研究費により購入した、狭線幅かつ安定度の高い高出力レーザを中心に、スペクトル形の精密な解析に適したヘテロダイン光散乱測定システムを構築した。このシステムを用いて、高分子溶液(polystyrene(PS)/diethyl malonate(DEM)系において、その臨界点近傍での濃度揺らぎのダイナミクスをヘテロダイン方式の動的光散乱により研究し、濃度拡散モードが粘弾性効果により抑制されるか否かを明らかにすべく、レーリー線のスペクトル形の解析を定量的に行なった。 (2)不安定領域での相分離ダイナミクス: 高分子溶液(PS/DEM系)の不安定領域における構造形成について、時分割光散乱法により構造因子の時間発展を研究した。散乱関数の特徴の詳細な解析、並びに、この新しい相分離現象に対するスケーリング概念の検証などを行うべくデータの解析を行なった。この結果、本研究の主たる目的である集団運動と個別運動との関係を理解する上で重要な知見が得られた。
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