研究課題/領域番号 |
08227203
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山谷 和彦 北海道大学, 工学部, 教授 (80002054)
|
研究分担者 |
岡島 吉俊 北海道大学, 工学部, 助手 (00213934)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1996年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 銅酸化物超伝導体 / 比熱異常 / d-波超伝導 / 異常金属相 |
研究概要 |
PbをドープしたBi2201系(Bi_<2.1-x>Pb_xSr_<1.9>CuO_y)の多結晶の超伝導試料と非超伝導試料の低温比熱を測定した結果、超伝導遷移温度における比熱異常の大きさはs-波超伝導体のそれと比較すると小さいことが判った。これはBi2201系がd-波超伝導体であることを示す。以下に研究成果をまとめる。 1)空気中で固相反応法で作製した多結晶は非超伝導試料であった。超伝導試料はアウゴンガス中でアニール、即ち、キャリアーを減少させることにより作製した。超伝導遷移温度はSQUIDを用いたマイスナー効果の測定から決定した。 2)非超伝導試料の比熱は温度の減少とともに単調に減少し、比熱異常は見られなかった。その温度依存性は単純に温度の1次(電子比熱)と3次(格子比熱)の項で表すことが出来ず、温度の-2次(ショットキー項)、温度の5次(非調和格子振動)の項を付加する必要があった。前者は低温部で、後者は高温部で全比熱に対して大きく寄与した。 3)超伝導試料の比熱は温度と共に単調に変化せずに、T_cにおいて「こぶ状」の比熱異常を示した。常伝導、超伝導状態の電子比熱は全比熱から格子比熱とショットキー比熱を差引いて求めた。その結果、T_c以上の電子比熱係数は温度によらず一定であったが、T_cでは「ステップ状の飛び」が見られた。T_cでの比熱の飛びの大きさと電子比熱の比は0.6であった。得られた値はBCS値と比較すると小さく、半分以下であった。これはd-波超伝導体の特徴と一致することが判った。 4)今後、広範囲のキャリアー濃度で比熱異常を観測し、比熱異常の統一的描像を得ることが研究課題である。
|