研究課題/領域番号 |
08227220
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上田 寛 東京大学, 物性研究所, 助教授 (20127054)
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研究分担者 |
林 昭彦 東京大学, 物性研究所, 助手 (10228562)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | バナジウム酸化物 / 量子スピン系物質 / ド-ピング / 単結晶育成 / 高温超伝導体 / スピンギャップ / スピン・パイエルス転移 |
研究概要 |
本年度は、バナジウム酸化物を中心に量子スピン系物質の開拓およびその物性の研究を行った。具体的には、新しいスピン・パイエルス物質NaV_2O_5を発見し、単結晶育成にも成功した。また、不定比化合物Na_xV_2O_5について、スピン・パイエルス転移は不定比性により急激に抑えられること、反強磁性長距離秩序は現れないこと、伝導性は増加し、その温度変化は一次元variable range hopping伝導機構を示すこと、などを見出した。前年度において発見したスピン・ラダー系物質CaV_2O_5については、Ti置換を試み、スピン・ラダー系銅酸化物と違って反強磁性長距離秩序は現れないことを検証した。類似の構造をとるMgV_2O_5については中性子散乱実験でスピン・ギャップと思われるエネルギー・ギャップを観測した。MgV_2O_5もスピン・ラダー系物質の可能性がある。擬一次元ジグザグ鎖物質LiV_2O_5は極低温まで反強磁性長距離秩序もスピン・ギャップも示さない。この物質については、単結晶育成にも成功した。CsV_2O_5はダイマー系物質で基底状態はスピン一重項状態である。 このほか、様々な低次元バナジウム酸化物が新たに合成され、その物性は検討中である。また、金属-絶縁体転移(パイエルス転移)を示す有名な物質VO_2において、3価陽イオンを置換した場合、M_2相と呼ばれる新たな構造をもつ絶縁体相が現れるが、この相における300K近傍での相転移はスピン・パイエルス転移であることを示した。 高温超伝導体研究では、核磁気共鳴グループとの共同研究で、214化合物での擬スピン・ギャップ挙動の検証を行った。214化合物で擬スピン・ギャップ挙動が明確に観測されないのは、金属イオンの置換によるランダムネスに起因している。
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