研究課題/領域番号 |
08227233
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
大野 隆 徳島大学, 工学部, 助教授 (70035640)
|
研究分担者 |
小山 晋之 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (40170394)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1996年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
キーワード | high-T_c superconductor / Y_<1-x>Pr_xBa_2Cu_3O_7 / NQR / spectrum / relaxation / on-site hole |
研究概要 |
Y1237系高温超伝導体は、Yを他の希土類元素に置換しても超伝導転移温度T_cはほとんど変化しない。しかしPrは例外でほぼ60%の置換により超伝導が壊れる。何故Prが超伝導を壊すか、母体の希土類元素によりPrの影響に差があるのは何故かについては多くの研究があるが依然明確ではない。Prが超伝導を壊す機構について微視的に研究する目的でCuO_2面のCu(2)及びCuO鎖のCu(1)のNQRスペクトルとスピン格子緩和率1/T_1の測定を行なった。 Cu(2)及びCu(1)NQRスペクトルは共に、Prの置換により幅が広がりNQRピーク周波数は減少することが分かった。SchwartzやOhtaによれば、NQR周波数はCu(2)及びCu(1)の上のon-site(3d)ホール数により決まるので、これはPr置換によりそれらの3dホール数が共に減少することを意味する。このことはRiceやMarzin達が提案している「Prの4fとOの2pπの混成軌道によるホールのトラップ」を支持する結果と言える。もうひとつ興味ある結果として、Prの置換によりスペクトルがいくつかの小さいピークを持つことが上げられる。即ちあるCu(2),Cu(1)上の3dホール数は増加し、他のCu(2),Cu(1)上の3dホール数は減少していることを意味する。これは幅の広がりと共にPrによりランダムネスが増大することを意味すると思われる。 Cu(2)のスピン格子緩和率はPr置換により高温で増大し、反強磁性ゆらぎが増強されることが分かった。また1/T_1TがT_cよりはるかに高温から減少し、いわゆる酸素欠損系で見られるス-ド・スピン・ギャップの現象が現れることが分かった。Cu(1)のスピン格子緩和率の測定は信号/雑音比が乏しくかなり困難であるが、pureなY1237におけるように、9.34T+0.00021T^3の温度変化を示すことが分かった。Korringa項は減少しており、Cu(1)3dホール数の減少と一致している。このT^3に比例する緩和機構は依然理論的に解明されていない。
|