研究概要 |
中国華北クラトンのオルドビス紀のキンバーライトパイプからダイヤモンドおよびガ-ネット結晶多数を採集した。約100ヶのダイヤモンド結晶からそれに含まれるシリケイト包有物(カンラン岩、斜方輝石、単斜輝石、ガ-ネット)を抽出した。その他にキンバーライトに含まれる役100個のガ-ネット捕獲結晶を抽出した。これらの結晶につき、EPMA及びSIMS装置を用いて鉱物の主要元素及び微量成分元素の化学分析を行った。これらの結果、以下の事実が明らかとなった。 (1)華北クラトンの下には少なくとも約4億8000万年前間では南アフリカやシベリアの太古代クラトン地域と同様に、暑さ200kmを超すテクトスフィアが存在した。 (2)地震学及び新生代の火成岩の研究からは華北クラトンの下のテクトスフィアが現在では失われていることが判った。 (3)失われた華北クラトンの下のテクトスフィアの化学組成はMg^*=100Mg/(Mg+Fe)=93±1の範囲にあり、他地域と同様に現在の上部マントルに較べ著しくFe,Ca,Alに乏しい特徴を持つ。 (4)華北クラトンの下のテクトスファイアは太古代に起きた大規模な融解により主成分に乏しい環境におかれた後、キンバーライトマグマの噴出したオルドビス紀までの間に軽REEなどの微量成分が付加されるメタソマティズムを受けている。
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