研究課題/領域番号 |
08229225
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
森永 正彦 名古屋大学, 工学部, 教授 (50126950)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | プロトン導電体 / 分子軌道法 / 電子構造 / アクセプター / ドーパント / 補償機構 / SrTiO_3 / 酸素イオン空孔 |
研究概要 |
本研究では、プロトン伝導機構の解明の手がかりを電子論の立場から得ることを目的として、プロブスカイト型酸化物SrTiO_3中の水素の電子構造の計算を行なった。そして、O-H間の相互作用はもとより、プロトンの導入およびアクセプターイオンの導入による母格子原子間の化学結合の変化についても詳細に調べた。 電子構造の計算には、DV-Xα分子軌道法を用いた。水素を、O-Oイオン間の中点(O-H間の距離=0.138nm)もしくは、O-H間の距離が0.1nmの位置に配置した。また、電子状態に及ぼすドーパアントの影響を調べるために、クラスター中心のTi原子をドーパントM(M=Sc,Fe)で置換し電子構造の計算を行なった。 純SrTiO_3にScを導入すると、価電子帯の上部にO-2pを主成分するアクセプターレベルが現れる。一方、水素はドナードーパントとして働き、伝導帯下部にドナーレベルが現れる。ScとHを同時導入すると、水素のイオン価は+0.12〜+0.06だけ増加する。この値は、ドナーレベルにおけるH-1s成分の占有率とほぼ一致する。これら一連の電子構造の計算より、ドナーレベルからアクセプターレベルへの電荷の補償機構が明らかになった。 また、母格子原子間の化学結合に及ぼすドーパントの影響が明らかになった。例えば、水素を含む場合、Scの導入によってO-H間の結合力が大きく増加するが、Oと周りの金属原子間の結合力が著しく減少する。一方、Feを導入した場合、全ての原子間の結合力がほぼ同じか、あるいは若干増加する傾向がある。 さらに、酸素イオン空孔の導入によって、バンドギャップ中にTi-3d電子を主成分とする欠陥レベルが現れることが明らかになった。
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