研究課題/領域番号 |
08229237
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
下條 冬樹 広島大学, 総合科学部, 助手 (60253027)
|
研究分担者 |
星野 公三 広島大学, 総合科学部, 教授 (30134951)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | 高速イオン移動 / 超イオン伝導 / プロトン伝導 / ペロブスカイト型酸化物 / 第一原理分子動力学法 / シミュレーション / 凝ポテンシャル / 理論 |
研究概要 |
本研究では、ペロブスカイト型酸化物、特に、ScをドープしたSrTiO_3中のプロトン伝導現象を第一原理分子動力学法による計算機シミュレーションを用いて再現し、そのミクロな機構を調べた。プロトンは、常に近傍の0イオンと結合しており、絶えずストレッチング振動しているが、その振動数は、プロトンのサイトに依存することを明らかにした。本計算によると、Ti近傍にプロトンがあるときは、ストレッチング振動は約2800cm^<-1>の振動数を持つのに対して、Sc近傍では、約3000cm^<-1>の振動数になる。これは、赤外吸収の実験より得られている、ScをドープしたSrTiO_3中のOHのストレッチング振動が広い振動数領域に分布を持つことに対応する。つまり、実験的に得られている振動数が分布を持つことは、プロトンのサイトが2つ以上あることに起因することは以前から予想されていたが、本研究により、それは、Ti近傍にあるプロトンとSc近傍にあるプロトンが異なった振動モードを持つことに起因することが直接的に示唆された。このようなプロトンのサイトによる運動の仕方の違いは、電子の密度分布より説明される。Scをドープした結晶においては、Ti近傍では、Ti-O間へ電子がしみ出す傾向があり、これが、OHのやや低めの振動数を持つストレッチング振動をもたらすと考えられる。逆に、Sc近傍では、電子はScおよびOの傍へ局在する傾向があり、やや高めの振動数を持つストレッチング振動の要因になっていると考えられる。
|