研究概要 |
高エネルギー密度二次電池など電気化学エネルギー変換デバイス構築のための実用レベルの性能をもった高分子イオン伝導体を開発することを目的とし、固体内のカチオン移動に適したポリマーマトリックスならびにイオン構造を設計し,二次電池および高容量キャパシタに対する適正を調査した。 1.ポリメタクリレート基マトリックスを用いたLi^+イオン伝導体の合成と特性評価 エチルメタクリルカーボネートとジエチレングリコールジメタクリレートを紫外光照射下で共重合することによりオリゴ(エチレンオキシド)鎖で一部架橋したポリメタクリレート基ポリマーを得た。ポリマーで中のLi^+イオン伝導特性とポリマー複合体の熱的および電気化学的挙動との関係を明らかにした。 2.高容量電気二重層キャパシタのための新規ポリマー固体電解質の設計 電荷密度が高く,またそれ自身酸化還元活性をもつ多価イオン(Ce^<3+>)をキャリヤ-イオンとして含むポリ(エチレンオキシド)-グラフト-ポリメタクリレート(PEO-PMMA)基複合体を合成し,そのイオン伝導特性を明らかにした。 3.電気二重層キャパシタ用ポリ(フッ化ビニリデン)ゲル電解質の作製 ポリ(フッ化ビニリデン)(PVdF)とアルキルアンモニウム塩を有機溶媒に溶解し,減圧下で溶媒を所定量蒸発することによりPVDF-基ゲル電解質薄膜を得た。薄膜のイオン伝導度は室温で10^<-2>Scm^<-1>程度で,活性炭繊維布を電極とするモデルキャパシタを構成しその基礎特性を検討したところ,溶液系電解質を用いたときと同程度の容量/サイクル特性が得られた。
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