研究課題/領域番号 |
08231211
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
阿波賀 邦夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10202772)
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研究分担者 |
奥野 恒久 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (50251327)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1996年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | ナノコンポジット / 磁性 |
研究概要 |
有機物と無機物がナノスケールで集合化した有機-無機複合ナノコンポジットには、有機物と無機物の双方の利点を反映した物性の実現が期待されている。今年度は層状水酸化銅を取り上げ、インターカレートする有機物に大きく依存する磁気的性質を見いだした。さらにEXAFSによる局所構造解析により、構造に関する知見も得た。 銅水酸化物塩、Cu_2(OH)_3X(X^-=NO_3^-,ハロゲン等)はCd(OH)_2型の層状構造からなり、層間には交換可能なアニオンX^-が存在する。まずアニオンX^-をいろいろなアルキルカルボン酸イオンn-C_mH_<2m+1>COO^-(m=0-9)と交換して、様々な層間距離を持つ銅水酸化物の磁気的性質について検討した。ギ酸-水酸化銅(m=0)では、銅水酸化物層内の銅イオン間に強磁性的な相互作用が、また層間では反強磁性的な相互作用が働くため、メタ磁性体(T_N=5.8K)であることが示唆された。一方、カプリル酸-水酸化銅(m=7)は、高温域で反強磁性的な挙動が認められるが、100K以下で一転して強磁性的となる。交流磁化率はT_N=22Kで発散し、弱強磁性体であることがわかった。磁気的性質は、層間に取り込んだアルキルカルボン酸イオンの長さによって多彩に変化することが明らかとなった。 ギ酸-及びカプリル酸-水酸化銅のCuK-吸収端のX線吸収スペクトルを測定し、それらの構造について比較検討を行った。その結果、カプリル酸-水酸化銅では層間のカルボキシレートの酸素原子が直接配位している部分のCu-O間距離が短くなり、つまりカプリル酸イオンから銅水酸化物層のイオン交換サイトへのケミカルプレッシャーを受けていることが分かった。これが両者の間に大きな磁気磁気的変化をもたらしたと考えられる。
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