研究課題/領域番号 |
08231223
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
関 隆広 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (40163084)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1996年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | 単分子膜 / アゾベンゼン誘導体 / ジアセチレン誘導体 / トランス / シス光異性化 / 光重合 / 状態制御 |
研究概要 |
我々はフォトクロミック単分子膜のもつ光機能性発現に関する研究の一環として、アゾベンゼン側鎖を有する両親媒性ポリマーに注目し、水面上でのフォトメカニカル効果、及びその固体基板上へ移しとった単層LB膜のフォトクロミック反応を用いた分子集合体の状態スイッチング現象について検討を進めている。後者については、特にネマチック液晶分子の光配向制御に関しての多くの知見を蓄積している。本研究では、液晶分子以外の分子集合体への展開として、LB膜構造の表面制御の可能性に着目することとした。基板に移し取られる第1層目として6Az10-PVA層を用い、その上に累積されるLB膜の状態をこのコマンド層により変化させるうるかの可能性を探ることとした。今回、コマンド単分子膜層の上にのせるLB膜物質としてジアセチレン系両親媒性化合物を選択した。 トランス体及びシス体の6Az10-PVA単分子膜(トランスAz膜及びシスAz膜と略す)上へ移しとった単層のPDAの累積比はそれぞれ0.95と1.0であった。両者とも照射初期の段階では630nm付近に極大を持ついわゆる青膜の吸収の立ち上がりを見せるが、約20分以上の照射においてスペクトルに変化に差異を生じた。すなわちトランスAz膜上のPDAでは、ほぼこのスペクトル形状で止まるのに対し、シスAz膜上では約550nmに極大を有する赤膜の生長が見られた後に重合が止まった。2時間以上の光照射ではこの状態にほとんど変化は見られなかった。青膜と赤膜の極大に相当する630nmと550nmの吸光度の経時変化を追跡すると、初期の10分以内の段階では同様な吸光度の立ち上がりを見せるが、約20分以上の照射でシスAz膜上のPDAは次第に赤膜へと変化していく様子が読みとれる。シスAz膜上でのPDAの光重合がよりよく進行するために、重合の進行によってπ電子共役系が歪んで長い共役長の青膜を保てなくなり、赤膜を与えたものと考えられる。重合前後での膜表面形態について、原子間力顕微鏡観測を行ったところ重合前後で本質的に変化が認められず、1nm以内の表面粗さに留まっていることがわかった。
|