研究課題/領域番号 |
08231225
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岩本 光正 東京工業大学, 工学部, 教授 (40143664)
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研究分担者 |
久保田 徹 東京工業大学, 工学部, 助手 (00205139)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1996年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 変位電流 / 液晶性分子膜 / 脂質分子膜 / 相転移 / 双極子モデル / 熱刺激変位電流 / アゾベンゼン / 光異性化 |
研究概要 |
本研究では、ロッド状の液晶性分子膜および生体膜関連の脂質分子膜に着目し、分子膜の相転移変化にともなう変位電流波形に注目した。目的として以下の3項目を挙げ、研究を進めた。 (1)表面圧力刺激にともなう水面上分子膜の変位電流パルスの検出。 (2)固体基板上に形成した素構造分子膜に熱刺激を加えた時の変位電流パルスの発生。 (3)光異性化にともなう構造変化の液晶性分子膜への伝達と、変位電流パルスの検出。 以上の研究目的に沿い研究を行った結果、以下の結果が得られた。 (1)水面上に剛直な液晶性分子膜を形成させ、表面圧力が極めて低い領域での変位電流を計測した。その結果、水面上のisotropic相からpolar orientational orderingの相への相転移現象が、変位電流法を用いて計測できることが、初めて明らかとなった。また、2鎖型の脂質系分子膜においても、同様の結果が得られることを明らかとした。さらに、こうした実験事実を踏まえ、水面と分子間に働く相互作用としてクーロン静電引力を考慮した双極子モデルを構築し、考察した。 (2)固体基板上脂質単分子膜において、分子膜がliquid-crystalからfluid相に転移する温度で変位電流パルスが発生すること、また、単分子膜レベルでこの現象が計測できることを初めて明らかとした。また、固体基板上の分子膜のモデルをつくり、変位電流波形の解析を行ない、実験結果と解析結果とが一致する事を明らかとした。 (3)水面上にアゾベンゼン単分子膜と液晶分子の混合膜を形成し変位電流を測定した。その結果、水面上混合単分子膜がシス膜である場合にのみ変位電流の発生が見られた。この成果を踏まえて、固体基板上にシス体単分子膜を形成し液晶セルをつくると、光異性によりセル内の液晶分子の配向が変化することを変位電流計測より明らかにした。
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