研究課題/領域番号 |
08231242
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中條 善樹 京都大学, 工学研究科, 教授 (70144128)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1996年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 有機-無機ポリマーハイブリッド / ポリオキサゾリン / ゾル-ゲル法 / シリカゲル / 水素結合 / 多孔質シリカ / アゾベンゼン / クマリン |
研究概要 |
本研究では、分子系素構造として有機高分子と無機マトリックスをとりあげ、これら異種の素構造を分子レベルで組み合わせて、新しい機能を発現するハイブリッド型の分子系超構造を構築することを目的とした。 二種類の有機高分子を有機成分として用いたところ、シリカゲルとのいわゆる三元系のポリマーハイブリッドを得ることができた。二種類の有機成分がシラノール残基との水素結合による相互作用の強さが異なることを利用して、一方の有機成分のみを選択的に抽出することに成功した。ポリオキサゾリン-ポリビニルピロリドン-シリカゲルの三元ポリマーハイブリッドをメタノールで抽出したところ、ポリオキサゾリンのみが選択的に除かれ、結果として、半径1-2nmの細孔を有する多孔質ハイブリッドが得られた。 また、ポリマーハイブリッドの有機高分子成分をモノマーの段階で仕込み、ラジカル重合とゾル-ゲル反応を同時に行うという手法により、有機高分子ゲル(ポリアクリルアミドゲル)と無機ゲル(シリカゲル)が均一に相互進入網目となった、いわゆるIPN(Interpenetrating Polymer Network)ハイブリッドを合成することができた。有機成分の動きやすさ、抽出されやすさ、などに特徴が出ると期待される。 さらに、有機高分子成分(ポリオキサゾリン)に、光応答性のアゾベンゼンやクマリン誘導体、ディールスアルダー反応可能なジエン、ジエノフィル等を導入して、シリカゲルとのポリマーハイブリッドを合成した。例えば、アゾベンゼンを導入したポリマーハイブリッドでは、そのフィルムに紫外光照射を行ったところ、アゾベンゼン基の約60%がトランス体からシス体に異性化していることがわかった。また、シス体からトランス体への逆異性化も、可視光照射あるいは熱的に進行するが、反応初期での異性化速度は溶液中よりも速いことがわかった。これは歪んだ構造のシス型アゾベンゼンの異性化によるものと考えられる。また、クマリンを有するポリオキサゾリンからのポリマーハイブリッドも合成した。このポリマーハイブリッドに光照射を行ったところ、クマリンの二量化が起こって、IPN型のポリマーハイブリッドが得られた。光照射により、ハイブリッド材料の運動性や膨潤特性を制御できると考えられる。 ハイブリッドの有機部分にブロックポリマーから得られる高分子ミセルを導入し、その会合状態を分子レベルで制御することを試みた。このようなハイブリッドでは、ゲスト分子の取り込みや、反応の場としての利用、さらに会合状態の変化を利用した環境応答性材料としての応用が期待できる。
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