研究課題/領域番号 |
08231250
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井上 佳久 大阪大学, 工学部, 教授 (30112543)
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研究分担者 |
和田 健彦 大阪大学, 工学部, 助教授 (20220957)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1996年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 光化学 / 不斉合成 / エナンチオ区別 / 光増感反応 / 水素結合 / 弱い相互作用 / DNA / ヌクレオシド |
研究概要 |
本研究では、分子集合体を単なる「分子認識」から一歩進んで反応制御(励起状態における)に利用することを目的に、DNAの有する右巻き二重らせん構造に光学活性増感剤を人工的に組織構造化し、高効率なエキサイプレックス形成を促進すると共に核酸のグループ(溝)を「不斉反応場」として応用するための基礎的な研究を行った。 まず、分子認識や分子系超構造形成の基礎となる「弱い相互作用」による不斉光増感反応の制御について検討し、今後より複雑な組織構造体光増感系へと展開するための知見を得た。 我々は、弱い相互作用に基づくキラルな超構造を有する光増感反応系さえin situで構築できれば、必ずしも増感剤の発色団部位とキラル部位は共有結合でつなぐ必要はないと考えた。すなわち、発色団分子としてベンゼンカルボン酸類を、不斉源としてキラルなアミン分子を用い、両部位の水素結合でin situに形成されるキラル錯体でも、(Z)-シクロオクテンの光増感エナンチオ区別異性化反応の制御が可能であることを明らかとした。 また、この増感系では発色団分子とキラル分子の相互作用が決定的に重要であるので、用いる溶媒により生成する(E)-シクロオクテンのeeは大きく影響されることも明らかになった。例えば、メタノール等の高極性溶媒中ではラセミ体しか得られなかったが、エーテル等の低極性溶媒中では最高+21.2%のeeが得られた。また、溶液中でのキラル錯体の安定度定数がeeを決める大きな因子の一つであり、25℃でもアミンの濃度を上げていくことでeeの大きな向上が認められた。さらに、低温では発色団分子とキラル分子の相互作用が強くなるとともに、エナンチオ区別過程に対する顕著な温度効果により、低温での光反応により得られる(E)-シクロオクテンのeeが上昇することも明らかとなった。 すなわち、水素結合や双極子-双極子相互作用などの「弱い相互作用」によってもキラルな超構造形成による不斉光増感反応系の構築と制御が可能であることを初めて明らかにし、今後の展開のための確固たる基礎が得られた。 核酸を用いた増感剤の組織構造化については、組織構造化に用いる核酸によるシクロオクテン、シクロオクタジエンなど環状オレフィンの不斉光増感異性化反応について、構成単位であるヌクレオシド・ヌクレオチド系と生体高分子であるDNA系の両系から検討し、核酸系の増感反応に関する基礎的な知見を得ている。
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