研究概要 |
本研究では、層状ぺロブスカイト化合物の自己組織性を利用し、有機層により電子状態を制御した多様な有機/無機超格子作製法を確立し、さらにこの超格子を基本単位とし、その空間配列を制御した三次元超構造を構築することを目的としている。本年度の研究成果は以下の通りである。 1,層状ぺロブスカイト超格子の新しい作製法である共蒸着法用いることにより、さまざまな金属ハライド系層状ぺロブスカイト超格子の配向薄膜を作製できることを明らかにした。さらに、蒸着原料であるアルキルアミンヨウ化物の分子構造により次元性を制御した層状ぺロブスカイト超格子薄膜を作製できる可能性を示した。 2,共蒸着における層状ぺロブスカイト超格子薄膜の形成過程において、金属ハライドへの有機アミンヨウ化物のインターカレーションが重要な役割をはたしていることを示した。 3,機能性発色団としてナフタレン環やアゾベンゼン発色団を有する有機アミンを有機層として導入した層状ぺロブスカイト超格子の作製に成功した。ナフタレン環を導入した系では、無機半導体層からのエネルギー移動により、ナフタレン環からの燐光が増強されるという新しい発光現象を見い出した。アゾベンゼン発色団を導入した系では、フォトクロミック反応により無機半導体層の電子状態や発光特性を制御できる可能性が示された。これらの結果より、機能性発色団を有する有機アミン層を導入することにより無機半導体層と有機層との相互作用を利用した新規機能を有する層状ぺロブスカイト超格子を構築するための端緒が得られた。
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