研究概要 |
1)ルイス酸触媒による有機合成反応プロセスは副生成物の処理および装置腐食が大きな問題となっている。その代替触媒として2〜4mmφのγ-アルミナを担体としたアルミナ固体ルイス超強酸(AmLSA)を調製し,固体ルイス酸-白金二元機能触媒を作成した。さらに,ベンゼンのアルキル化反応に対する活性・性能を検討した。白金担持は水素解離能付与が目的である。 2)2〜4mmφのγ-アルミナを用いて,高温塩素化-排気処理法,CVD法によるPtCl_2担持および水素還元法でアルミナ固体ルイス酸担持白金触媒(Pt/AmLSA)を調製した。半回分反応法で同触媒をベンゼン中に静置し,H_2共存下でベンゼンの(CH_3)_2CHClによるアルキル化反応を行った結果,前年度の粉体触媒の場合と同様の成果が得られた。 3)C_3H_6とH_2の混合ガスの気泡が下部から触媒層を通過するような新規の半回分式気液固接触反応器を設計製作し,室温近傍で同アルキル化反応を行った。反応液の撹拌が容易に起り,H_2供給がなくとも反応は円滑に進行するようになった。触媒0.2g(粒子12個),Pt担持量0.5-2mg,C_6H_610ml,C_3H_610mlmin^<-1>で6時間後,C_6H_6転換率20%以上,クメン選択率80%以上が得られた。白金無担持の場合は転換率約5%であった。 4)上記の結果から,実用化に一歩近付いたものと解釈できた。 5)並行して,前年度に引き続き,SiO_2,TiO_2,HZSM-5の高温塩素処理法を行い,FT-IRを使用して表面の特性化を試み,架橋酸素の残留によりルイス酸表面の得られないことを明らかにし,「表面科学」誌に掲載した。
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