研究概要 |
本研究では、地球環境改善のための高性能脱硫触媒を開発するために、メソポーラスゼオライトであるFSM-16にに種々の種々の遷移金属(Ni,Co,Fe,Meなど)および複合遷移金属(Ni-Mo,Co-Mo)を担持した触媒を調製し、これらの触媒のチオフェン水素化脱硫(HDS)活性を検討した。 この結果、FSM-16担持遷移金属のHDS活性は金属の種類によって大きく変化し、Moを担持したものが高い活性を示した。また、MoとNiおよびCoとを組み合わせた複合金属担持系ではより高いHDS活性が得られたが、反応時間の経過とともにHDS活性は低下し、実用脱硫触媒であるCoMo/Al_2O_3触媒よりも高い活性は得られなかった。 一方、FSM-16に貴金属(Pt,Pd,Rh,Ru,Ir,Au)を担持した触媒では高いHDS活性が得られた。この場合においても、貴金属の種類によってHDS活性は大きく変化し、Pt/FSM-16触媒が最も高いHDSと安定な活性を示した。Pt/FSM-16触媒のHDS活性は、CoMo/Al_2O_3系脱硫触媒よりも高いものであった。 さらに、Pt/FSM-16触媒上でのチオフェンのHDS反応機構を検討した。この結果、チオフェンはFSM-16表面上の酸点と強く相互作用して活性化され、一方水素はPt上で活性化されてスピルオーバー水素となり、酸点上で活性化されているチオフェン分子を攻撃してHDS反応が進行することが考えられた。
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