研究課題/領域番号 |
08232250
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
黒沢 英夫 大阪大学, 工学部, 教授 (40029343)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | μ-ジエン錯体 / パラジウム-パラジウム結合 / 三核錯体 |
研究概要 |
本研究の目的は、特殊反応場触媒の研究で大きな役割を果たすバルクパラジウムやバルク白金の表面吸着モデルとして、不飽和炭化水素を配位させたパラジウムクラスター錯体を合成し、表面の吸着分子の物理的特性や化学的特性を、分子、原子レベルで解明するための基礎知見を明示することである。 1)μ-ブタジエンパラジウム2核錯体の配位子交換と3核錯体への誘導 ゼロ価パラジウム単核錯体と2価パラジウムハロゲン化物錯体をブタジエン存在下反応させるとカチオン性、中性およびアニオン性Pd-Pd骨格上にジエンが架橋配位した錯体が得られた。このようにして得た錯体のブタジエン配位子は、他の共役ジエンとの間で容易に配位子交換を行うことが分かった。ここで添加するジエンとして2位でパラジウムにσ結合するジエンを用いると、立体的混みあいを克服して3核パラジウム架橋ジエン錯体を収率よく与えた。この錯体の構造はX線解析で明らかにし、ジエン部分のs-トランス構造やC1-C2結合よりもC2-C3結合の方が短くなっていることなど、特異な構造特性が明らかになった。同様の配位子交換を利用すると、カチオン性Pd-Pd骨格にジエノラートアニオンがπ-配位した新奇な錯体の合成と構造決定も行うことができた。 2)μ-ジエン配位子と求核剤の反応 μ-ハロゲン配位子の存在する錯体中のμ-ジエン配位子はアセトニトリルなど弱い配位子では簡単に追い出されない。ところがμ-ハロゲン配位子を銀塩で引き抜きカチオン電荷を増やすと、μ-ジエン配位子は解離しやすくなり、アセトニトリルやスルフィドなどとホスフィンだけが配位した2核ジカチオン性Pd-Pd錯体が生成した。これらは溶液中でも比較的安定で、Pd-Pd結合がかなり強固に形成されていることを示唆する。このような型のパラジウム複核錯体はいままでほとんど例を見ない新型クラスターである。
|