研究概要 |
ディーゼルエンジンや希薄燃焼エンジンでは排気ガスに多量の酸素が含まれるため、現在のNOxの後処理技術の応用が困難である。従来の研究においてCu-SAPO-34は酸素存在下でもC_3H_6を還元剤として高いNOx選択還元活性を示すことと、特に優れた熱安定性を有することを見出した。さらに、種々の金属イオンを格子中に導入したMe-APSO-34もNO還元活性を有すること、骨格にCoイオンを導入したCoAPSO-34に、さらにCuをイオン交換したCu-CoAPSO-34は活性が高く、Coイオンが活性を示すためCuイオン交換量がCu-SAPO-34より少なくても活性が高くなることを報告した。今回はこの触媒上での反応機構について検討した。 所定の前処理(500℃, 5h真空排気→400℃, 4h, O_2 (100 torr)中で酸化処理→350℃, 3h真空排気)を行ったCu-SAPO-34に室温でNOを導入すると1890cm^<-1>にCu(I)-NO^<δ+>に帰属される吸収が大きく著れ、これを350℃で加熱処理するとさらに2240, 2150, 1600, 1570, 1520cm^<-1>に新たな吸収が現れた。2240cm^<-1>の吸収は触媒上に吸着したN_2O, 2150cm^<-1>の吸収はCu(I)-NO_2^+に帰属できる。1600, 1510cm^<-1>の吸収は(〕.KA.〔)(Nitrato unidentate), 1570cm^<-1>の吸収が(〕.KA.〔)(Nitrato bidentate)と考えられる。このとき、同条件で行った閉鎖循環系による気相ガスの分析から気相中には多量のNO(m/e=30)とごくわずかなN_2(m/e=28)が検出された。室温で気相を排気するとNO_3種のみが残り、その他は脱離した。これに室温でC_3H_6を導入するとNO_3が消失し、vCH_3, vCH_2, δCH_3が現れた。さらに350℃で長時間熱処理を続けるとNCO種が出現した。この様な変化から反応機構を推定した。
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