研究概要 |
メソポーラスシリカモレキュラーシ-プの代表的存在であるMCM-41は六方構造をしており、1.5〜10nmの一次元の細孔を有するまったく新しいタイプの多孔体である。MCM-41を合成する際、テンブレートであるアルキルトリメチルアンモニウムのアルキル基の炭素数をC_<12>〜C_<18>の範囲で変えることにより、細孔径が2.0〜4.0nm程度の範囲で精密制御できる。さらに、合成の際に有機助剤であるメシチレンを加えると、規則性は低下するが、細孔は最大10nmまで大きくすることができると報告されている。 本研究では、規則性が高く、しかも細孔径が3.0〜10nmの範囲で任意の径のシリカMCM-41を合成することを目的としている。 テンプレートのn-アルキル基をC_<12>〜C_<22>まで変えてMCM-41を合成した。アルキル基がC_<20>以上の場合テンプレートの親水性が低くなりMCM-41の合成は困難であると考えられていたが、C_<22>の場合でも合成が可能であった。また、鎖長とともに細孔径が増大した。いずれの場合も規則性の高いMCM-41であることがわかった。MCM-41の細孔径はこの方法により最大約5nmにできることが判明した。 有機助剤としてメシチレンを用いてMCM-41を合成したところ、細孔径を12nmまで拡大させることができたが、細孔径分布は極めて広く、規則性の低いMCM-41しか合成できなかった。この様なMCM-41は、耐熱性、耐水熱性も低かった。他の有機助剤の添加効果を調べた。1,3,5-トリイソプロピルベンゼンとトリデカンの場合、細孔径分布は狭かったが、細孔径は約5nm以上にならなかった。一方、1,3,5-トリイソプロピルベンゼンにメシチレンを加えて用いた場合、細孔径分布が狭く、しかも規則性の高い細孔径約6nmのシリカMCM-41が合成できた。
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