研究課題/領域番号 |
08233220
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
舘田 英典 九州大学, 理学部, 助教授 (70216985)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 多重遺伝子族 / 遺伝的冗長性 / 生物進化 / 遺伝子数 / 分子進化 / 集団遺伝学 / 複雑性 |
研究概要 |
遺伝的冗長性が産み出される進化機構と過程を理解するために、遺伝子重複過程を集団遺伝学的モデルとコンピューターシミュレーションを使って調べた。モデルでは不等交叉によって遺伝子数の増減が起こる。コピー数によって二つのタイプの自然選択が各固体に働くとする。最初のものは多様化選択で多くの異なるコピーを持っている個体の適応度が高くなる。この選択は少し異なった遺伝子コピーを持つことは個体がいろいろな環境に適応するのに有利であると考えて導入された。二番目の選択はコピー数選択と呼ばれ、より多くのコピーを持った個体は不利になるとする。倍数性の影響も調べるために、半数体、二倍体の両方のモデルについて調べた。シミュレーションでは一個体当たりの総遺伝子コピー数、異なるコピーの数、偽遺伝子(有害当然変異が起こったことにより死んだ遺伝子)の数の進化を、(半数体・二倍体)x(コピー数淘汰無・有)の4つの場合について、いろいろ集団のサイズを変えて調べた。その結果次のことが明らかになった。1.多様化選択はコピー選択がない場合遺伝子コピー数を増加させるのに非常に有効である。特に大きな集団ではコピー数は短い期間に爆発的に増加する。2.二倍体の方が半数体よりもコピー数増加がより急速に起こる。3.弱いコピー数選択を導入することによってコピー数の増加は劇的に遅くなる。半数体モデルではコピー数は他の場合のように集団サイズの単調増加関数とはならない。更に偽遺伝子数の割合もコピー数選択の導入によって大きく減少する。生物界において、コピー数選択のないシミュレーション実験で見られたような大きな遺伝子コピー数や多くの偽遺伝子は観察されていないので、もし多様化選択が生物の歴史の中で働き続けているとするなら、遺伝子数を増やすこと、そしてこの方法で遺伝的冗長性を増すことに対してに何らかのコストが働いていることが推測される。
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