研究概要 |
現実感の高い仮想世界を構築するためには,CG(Computer Graphics)技術が必要不可欠である.現実感の高いCG映像を作成するためには,高度なレンダリング手法,精密なモデリングが必要とされる.しかし,このような高度なレンダリングや精密なモデリングには,専門的な技術と莫大な時間が必要になり,仮想世界を容易に構築することが困難になるという問題点がある.そこで,本研究では,誰もが容易に現実感の高いCG映像を作成することが可能な手法について検討を行なった. まず,容易な3次元モデリング手法として,単眼カメラで撮影した連続画像から精度の高い奥行きデータを計測する手法を提案し,3次元モデルの構築を行った.提案手法では,光軸に対して垂直方向に等速直線運動を行うカメラで等間隔に撮影した連続画像の対応点検索を行う.基線長を長く取るために,連続画像の複数フレームを使用し対応点付けを行った.その結果,物理的にカメラの台数を増やさずに,精度の高い3次元データを計測することができた.現在,カメラの運動,撮影間隔に制限を設けているが,この制限を減らすことで,容易に3次元モデルを構築できることが明らかとなった. また,3次元モデル作成の重要性と同様に,生物の3次元モデルの動き,姿勢の制御もCGの現実感を表現する重要な要因である.本研究では,人間の自然な掌握姿勢を表現するためデータ構造および姿勢決定手法についても提案を行った.提案手法では,まず始めに,八進木データ構造を用いて構成されたデータベースに基づいて掌の姿勢を決定する.人間の身体の前部に掌が届く空間を定義し,再帰的に分割した八進木データ構造を利用することで,掌の姿勢データベースを非常に容易に作成することができる.次に,提案手法である等姿勢領域(iso-confort regions)を用いて掌以外の腕の姿勢を決定する.現実感のある腕の姿勢を決定するという点で,得られた結果,等姿勢領域を定義することの有効性を示すものである.
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