研究概要 |
感性工学(KES)は自動車・家庭電器・住宅等の産業で感性を取り込んだ製品づくりに利用されてきたが,最近になって感性工学にバーチャルリアリティ技術(VR)を結合させたシステム(VR-KES)の研究が進められ実用化の事例も出現した。VR-KESは顧客からの製品選択意思決定支援として非常に有効であると考えられるが,まだその研究はなく,本研究で初めてVR-KESの意思決定支援としての有効性の評価と,どんな形態が望ましいかを検討した。 評価実験は,システムキッチンの製品映像を対象として,(1)ヘルメット(HMD)を用いる没入型VR-KES,(2)非HMDのデスクトップ型のVR-KES,(3)顧客グループによるオブジェクト操作が許されるもの,の3種類である。いずれも感性を入力してシステムキッチンを映像化し,ウォークスルー等の機能を通して映像と目標感性との一致度を評価する。 実験結果から,HMDを利用する没入型システムと比較して,デスクトップ型VR-KESが使いやすく意思決定に有効であったこと,またウォークスルーやオブジェクト操作を通したことが意思決定に非常に役立ったことから,VRを利用することがこの種の意思決定に有効であることが,いずれも確認できた。
|