研究概要 |
1.実時間視覚情報処理アルゴリズムの開発 … 作業対象のモデルに基づき,フィードバック情報として実時間で使用可能な視覚情報処理のアルゴリズムを開発した.次に述べる定式化において,作業対象物の特徴量をフィードバックする「特徴ベース法」を用いたため,実時間処理アルゴリズムとしては特徴量抽出のみを行なうこととした. 2.視覚サーボ理論の定式化 … 従来の特徴ベース法の定式化では,特徴量ベクトルの次数がロボットの自由度より多い(冗長な)ときにはシステムは不可制御になっていた.本研究においては冗長な特徴量を有効に利用するための定式化を行ない,冗長性がロバスト性の向上および精度の改善に役立つことを証明した. 3.環境認識アルゴリズムの開発 … 環境内を移動する物体の運動推定アルゴリズムを導出した.これは一種の非線形オブザ-バであり,作業の実行が進むにつれて推定精度が向上する. 4.実験による評価 … 具体的な作業として,カメラを用いて運動する物体の追従を行なった.物体上の特徴量の次元を増加させることにより,追従精度が向上することを確認した.また,さまざまな運動形態に対しオブザ-バによる推定が可能であることを確認した. 5.問題点 … 現在,実環境(屋外)での作業や変動する環境内での物体追従は実行できない.これは画像処理を単純な特徴量抽出に限定しているためであり,実画像の処理が今後の課題と考える.運動制御および運動推定のアルゴリズムは汎用性を持つものであり,自律的に作業するロボットを構築するための重要なツールになることが期待される.
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