研究概要 |
本研究では,人間の介在によって動的に変化する実環境下におけるロボットタスクとして,人間と対戦する卓球ロボットを取り上げ,知覚と行動を結ぶために不可欠なモデルの学習的獲得方法について詳細に検討するとともに,目標タスクを確実にこなすロボットシステムの実現を目指した. 1.知覚を主体とした学習方法の導出およびその実装:ボールのステレオ画像時系列を入力とし,ボールが打ち返し地点に飛来する時刻・位置・速度の予測を出力とする入出力関係を学習するシステムを構築した.飛行中のボールを広範囲にわたり視野内におさめるために,カメラ姿勢を変化させて注視点を制御する機能を付加した.予測精度を向上させるには,画像処理の高速化をはかる必要があり,そのためには,この補助金で購入した「トランスピュータ画像処理システム」が欠かせない.入力出力関係の学習にはメモリベースド学習としてLWR(Locally Weighted Regression)を用いた.また,ボールの垂直下向きの加速度を入力に加えると,ボールのスピンの変化に対応できることを発見し,入出力変数の選択の重要性を示した. 2.行動に関連した学習方法の検討:ボールの飛来予測から打ち返し行動を決定するための学習方法として用いたUpdate-Smoothing学習に対して,収束性などの理論的考察を加えた.また,ボールのスピンを考慮した行動の決定について検討した. 3.知覚と行動の融合:知覚と行動における入出力関係を結合し,スピンがある場合にも人間と対戦できる卓球ロボットがほぼ実現できた.今後は,この結果を他のタスクエンコーディングに一般化していくことを目指している.
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