研究概要 |
近年、非線形光学材料としてπ電子共役系有機化合物が注目されている。これはその非線形感受率が無機系材料と比較して非常に大きいことやピコ秒以下の超高速応答性が期待されることによる。本年度では、いくつかの電気光学材料用NLO-クロモフォアの開発をおこなった。 1)ナフトキノンジイミン系2次非線形光学材料 強力なアクセプター基としてシアノ置換キノンジイミン部を有する表題色素、N-Cyano-N′-diethylamino-phenyl-1,4-naphthoquinone,の2次非線形性を評価した。具体的には、各濃度の色素をポリメチルメタクリレート(PMMA)にドープし、ボーリング法を用いて配向させた。そして、1.3μmに発振波長をもつレーザーに基づくポッケルス係数の測定をおこなった。そのポッケルス係数は色素の濃度変化に対して直線関係を示し、会合など分子間作用が極めて小さいことがわかった。そしてこのボッケルス係数より求められたμβ値は(2,900-4,600)×10^<-48>esuとなり、この種の材料としてよく知られているディスパースレッド1より4-6倍大きい値となった。この成果は学術誌に速報された(Y.Kubo,T.Takaba,and S.Aramaki,Chem.Lett.,1997,255-256)。 2)カリックスアレーン誘導型クロモフォアの開発 2次非線形光学材料としての有効性が指摘されているインドアニリン系色素を分子内に複数集積できる標題化合物の性質は興味深い。まずは初歩的な結果を得るため、クロロホルム溶液中のβ値をハイパーレーリー散乱法によって評価した。目下、そのβ値と構造の関係を検討している(久保・高羽・和田・東郷・雀部、第72春季年会講演発表予定:1K140)。
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