研究概要 |
最近の研究によれば、宇宙の様々な天体で非熱的粒子の存在が示唆されておりその起源として衝撃波による統計的粒子加速が提唱されている。しかし,多くの場合は衝撃波自身を直接観測することは難しく,その粒子加速を理解するためには太陽地球惑星系における衝撃波現象からの推測が必要となる.平成8年度は太陽系内の衝撃波による非線形現象ならびに粒子加速の観測的研究を行うとともに、これらの直接観測に基づく知見を天体現象(パルサー風・星風間衝撃波における粒子加速現象)に応用し、新しい知見を得た。 (1)1995年10月18日に地球近傍に到達したCME現象(太陽コロナ質量放出現象)は中規模の惑星間空間衝撃波を形成した。この衝撃波と地球定在衝撃波の間に捕捉された粒子は通常の衝撃波加速現象よりも効率よく加速されることが期待される。イオンについては以前から報告があったが、電子についての報告は我々が今年度発表したものが最初である。またこの観測例から衝撃波・衝撃波非線形相互作用について貴重な知見を得た。 (2)電波パルサーPSR1259-63とBe星SS2883の連星系に関してはその電波観測から連星軌道に対するの物理量が良く推測されており,パルサー風とBe星星風の相互作用より作られるどこに衝撃波が形成されるかは先人により研究がされている.我々は地球前面定在衝撃波や太陽近傍の衝撃波との比較から連星系でのプラズマの状態と衝撃波の形状を詳しく推定し,そこでの粒子加速の効率,加速し得る最大エネルギーを推定した。
|