研究概要 |
惑星間空間の粒子群について、その成分、エネルギースペクトル、時間変動等を、人工衛星の観測データと地上観測データを通して高エネルギーの粒子現象を総合的に解析した。また、太陽フレア-等のカタストロフィについて、蓄えられた磁気エネルギーがプラズマ粒子の加熱・加速に変換される物理過程を計算機シミュレーションを介して理解を進めた。 1.人工衛星GEOTAILとWINDに搭載された重粒子検出器により、1992年〜1995年の静穏期における3〜150MeV/nのエネルギー範囲の宇宙線を観測した。その結果、He,C,N,O,Ne,S,Arの宇宙線異常成分の増加が観測された。第一電離ポテンシャル(FIP)10.4eVを有する硫黄成分はこれまでに観測されてなく、世界初の検出である。この異常成分の観測により、局所星間空間における粒子のFIP依存性が更に明らかになった(APJ,1997,in press)。 2.1993年〜1994年に観測された太陽共回転イオンイベントの現象において、イオン強度の増加量、銀河宇宙線強度の減少量、惑星間磁場・プラズマとの相関を詳細に調べた。太陽共回転相互作用領域CIRの形成領域のプラズマ条件が明らかになってきた。また、CIRの発生と長期間の宇宙線強度の減少との関係が見いだされ、連続的なCIRが外太陽圏に伝播する間にCIRが融合しMIRを形成し、長期間MIRが存在する為に宇宙線強度が減少する事が明らかになってきた(JGG,1997,submitted ; GRL,1997,to be submitted ; EGU,1997)。 磁気圏サブストームやフレア-で自発的な高速再結合機構が成長する結果、蓄積された磁場エネルギーが一気にプラズマエネルギーに解放する。これによりフレア-現象が良く説明できる事を示した(Plasma Phys.,1996 ; JGG,1997,to be submitted)。更に、これを発展させ、MHDシミュレーションで得られる電磁場データの元で、粒子軌道の計算をして高ネネルギー粒子の加速機構について研究を進める予定である。
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