研究概要 |
(1)超高エネルギー宇宙線の宇宙空間中の伝播に関する理論的な基礎的研究を行なった。宇宙線の曲がった空間中の伝播を定量的に理解するために、ワークステーションを使ったシミュレーションを行なう(このためXウインドウ端末1台を購入する)予定であったが、解析的な十分よい近似法が見つかったためこれを取りやめることとした。 (2)超重暗黒物質の対消滅に基づく最高エネルギー宇宙線のニュートリノ親説の検討を行なった。銀河内の恒星内の恒星数を通常通りと仮定し、重力による捕獲消滅機構にを考えるかぎり、期待されるフラックスは必要な値を6桁以上下回ることが示された。 (3)ニュートリノを使う等価原理の検証法に関しては大きな発展があった。南方はAlexei Smirnov(ICTP,Trieste)との共同研究で、活動銀河核からのニュートリノを使うことによって今まで考えられなかったような高い検証精度を得ることができることを見いだした。期待される精度は質量のないニュートリノに対して10^<-41>、IeVの質量を持ったニュートリノに対して10^<-28>であった。これらは太陽ニュートリノを使って到達できる精度をそれぞれの場合に約21桁、および12桁改善できることを示している。(これらの桁数の比較は、全てのニュートリノ・チャネルの重力源として、現在見つかっている最も巨大なスーパークラスターを仮定している。)また巨大ブラックホールという活動銀河核の重力源のコンパクトさから、活動銀河核から放出されたニュートリノに対して重力的MSW効果という新しい現象が起きることを初めて指摘した。
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