研究課題/領域番号 |
08237217
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
柴崎 徳明 立教大学, 理学部, 助教授 (50206124)
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研究分担者 |
蓬茨 霊運 立教大学, 理学部, 教授 (70062601)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 中性子星 / ミリ秒パルサー / 磁場 / 質量降着 / ジュール損失 |
研究概要 |
磁場が10^8-10^<10>Gとかなり弱いミリ秒パルサーの登場により、連星系における質量降着が中性子星の磁場を弱める原因ではないかと指摘されている。その理由は、降着物質が持ち込む角運動量により中性子星はスピン・アップされ、ミリ秒パルサーになったと考えられるためである。この研究の目的は、質量降着により中性子星の磁場が減衰するか否かを明らかにすることである。 中性子星磁場の原因はその内部を流れる電流にあると私たちは考える。質量降着により中性子星内部の温度は高められ、内部の電気抵抗が大きくなる。電流のジュール損失が促進され、磁場は大幅に減衰する。これが質量降着による磁場減衰のシナリオである。一方、降着物質が中性子星表面にたまっていくと、その重みで電流層は徐々に電気伝導度の大きな内部へと押し込まれ、ジュール損失が抑制される。私たちは、質量降着による磁場減衰を正しく評価するために、ジュール損失に対するこれら促進と抑制2つの効果を取り入れて計算を行なった。 これまでの研究でわかったことをまとめると次のようになる。 ・中性子星への質量降着率がM【less than or similar】10^<-9>M【of sun】/yならば、磁場減衰は質量降着によって加速される ・M【greater than or similar】10^<-8>M【of sun】/yになると、アドヴェクションの効果で磁場減衰はサプレス ・最終的な磁場の強さは電流分布や質量降着の期間に依存する。 ミリ秒パルサーの前身と考えられる低質量連星X線星は、X線光度が大きく準周期的振動を示すZ型ソースとX線光度が小さくバーストを示すAtoll型ソースに分類されている。そして準周期的振動やX線バーストから中性子星の磁場はZ型の方がAtoll型よりも強いと示唆される。この研究で明らかになったアドヴェクションの効果を考えると、この磁場の強さの違いがうまく説明されることがわかった。
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