研究概要 |
この研究の主目的は、パルサーによって加速された相対論的荷電粒子によって作られるシンクロトロン雲をX線で観測し、パルサー周辺の荷電粒子の空間分布とエネルギーを明らかにし、パルサー風あるいはパルサー・ジェットの加速機構と、パルサー周辺からのX線・ガンマ線発生の仕組みを究明することである。 本研究では、『あすか』衛星によって観測された回転駆動型ガンマ線・X線パルサーのデータ解析を行ない、9個のパルサー(B1509-58,B0833-45,B1951+32,B1046-58,B1610-50,B0656+14,Geminga,B1055-52,B1929+10)周辺から、パルサー風によって励起されたと思われる拡散X線源を検出した。このうち、5個(B1046-58,B1610-50,B0656+14,Geminga,B1055-52)は、新しい検出である。このように多くの場合に拡散X線源が見つかると言うことは、活動的なパルサー全てに、そのようなX線シンクロトロン雲(パルサー雲)が存在することを示唆する。これらのシンクロトロン雲は、photon index 1.5〜2.0という硬いスペクトルを示し、形状、大きさはさまざまである。観測されたパルサー雲X線光度のパルサーの回転エネルギー変化率に対する割合は、10^<-4>から10^<-2>の間の値に分布する。これらのパルサーに、よく知られたかにパルサーを加えて、パルサー回転エネルギー変化率と1-10keV領域でのパルサー雲X線強度の間の大ざっぱな経験式、 logL_<nebula>=(33.42±0.20)+(1.27±0.17)・logE_<rot> を導いた。
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