配分額 *注記 |
115,200千円 (直接経費: 115,200千円)
1998年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1997年度: 43,600千円 (直接経費: 43,600千円)
1996年度: 65,300千円 (直接経費: 65,300千円)
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研究概要 |
多自由度系のトンネル現象には,結晶の転位の運動や固体ヘリウムの結晶成長のように,粒子的描像よりも線状構造の運動過程と捉えられる現象がある.そのような系の量子トンネル現象を調べるのがこの研究の目的である. 転位のトンネル運動を研究するグループ(鈴木,竹内,小泉)は,液体^3Heを用いて1K以下で固体の塑性変形実験を行うための極低温変形試験装置を建設した.この装置の最低到達温度は0.5K,超伝導マグネットを使って超伝導金属の超電導-常伝導遷移にともなう変形応力の変化を測定することが出来る.パイエルス機構によって塑性変形が起こるbcc金属とNaCl型イオン結晶について実験を行った.特に,Taについて詳細な実験を行い,変形応力の温度依存性,変形速度依存性,超伝導遷移にともなう応力変化のデータを,我々が既に発表した転位のトンネル運動に関する理論にもとずいて解析し,転位の実効質量や電子摩擦の大きさを見積もることに成功した. 固体ヘリウムの表面ステップを研究するグループ(水崎,上羽)は以下のような成果を上げた. 1)融解圧下での単結晶,単軸区核整列U2D2固体^3Heの超音波の音速測定:核整列転移温度TN以下では音速は温度Tの4乗に比例し,1次相転移するT_Nで音速は0.07%の跳びがあり,T_N以上では約3mKで極大値をもち温度とともに減少する.音速の温度変化と既知の核スピンの内部エネルギーより核スピン相互作用のグルナイゼン定数を決定した.TN以下で音速の異方性を観測した.2)超低温に適応可能な磁気映像法の開発と^3He-^4Heの相分離界面の形状の映像化へのおうよう:重力下での界面の形状より相分離-超流動3重点T_t近傍では界面張力σおよび界面の接触角θを求めた.σ∝(T-T_t)^2,θはT_tに近付くにつれて増加する傾向にある.3)固体臨界核生成の量子トンネル過程のデータの解析:臨界核生成を界面に既存の固体の種結晶のピン止めからのトンネル現象と結び付け,そのモデルを提示した.
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