研究課題/領域番号 |
08240210
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河野 公俊 東京大学, 物性研究所, 助教授 (30153480)
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研究分担者 |
白濱 圭也 東京大学, 物性研究所, 助手 (70251486)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1996年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | ウィグナー結晶 / スライディング / ヘリウム3 / 超流動 / 超流動ヘリウム3 |
研究概要 |
ヘリウム液面上に乗せた2次元電子系のウィグナー結晶において、二種類の多自由度トンネル現象に関する実験を行なっている。一つは液面に水平な方向へのトンネル現象であり、もう一つは垂直方向へのトンネル現象である。 ヘリウム液面上に乗せた2次元電子系は液体ヘリウムの静電分極による鏡像ポテンシャルによって液面と垂直方向に弱く束縛されて、その方向の運動は量子化され、束縛エネルギーは8ケルビン程度である。これに外部から電場を加えることで、この状態を準安定な状態にすると、電子は束縛状態から逸出をはじめる。この現象は崩壊現象と密接に関連したトンネル現象である。この課題については、現在ヘリウム3冷凍機を準備中である。 一方前者は、ウィグナー結晶の伝導度で見られる滑べり現象において、トンネル現象で滑べり状態に入る可能性を探求しようという意図に基づいている。ヘリウム上のウィグナー結晶が電子の局在する格子点直下の液面に局在した圧力を及ぼす結果、液面はウィグナー結晶とcommensurateな変形をおこす。この変形はウィグナー結晶にとって束縛ポテンシャルとなるので、一種のピン止め効果が発生する。ピン止めされたウィグナー結晶が束縛を逃れる現象はCDWのスライディング現象との類似性が高い。従って、この現象において、熱活性過程と量子トンネル過程を考えることは自然である。滑べり状態に入る際の閾値電圧の温度依存性を見ると、ウィグナー結晶の固化温度より下で,結晶の秩序が成長することに対応して、閾値は温度を下げるに従って増大する。ところが,さらに温度を下げて行くと、70ミリケルビン以下で、再び閾値が減少に転じることを見い出した。この現象は古典的に考えると、理解の難しい現象で、一つの可能性として量子効果を検討する必要があると考えられる。 今年度は、銅核断熱消磁クライオスタットを用いて世界でもはじめて超流動ヘリウム3の自由表面でウィグナー結晶の伝導度の測定に成功した。
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