研究課題/領域番号 |
08240211
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
幸田 清一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10011107)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1996年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 多自由度トンネル / 希ガス結晶 / 自立型結晶 / 硫化水素光分解 / 重水素効果 / ゲージ効果 / トンネル効果 |
研究概要 |
1.本研究は、希ガス結晶、窒素などの小分子結晶における水素、重水素原子の化学反応と拡散の過程を実験的に追跡し、その速度を相互に比較することにより、多体相互作用の場において進行するトンネル効果を測定することを目的とした。 2.実験は、極低濃度にH_2Sをドープした自立した希ガスの結晶(多結晶)を作成して行った。この結晶に対して紫外部のパルスレーザー励起を行い、発光、紫外・可視吸収、赤外吸収などの分光学的な方法で反応物や生成物の同定、時間的変化の追跡を試みた。Kr、Xe結晶に関して行った状況は以下の通りである。(1)紫外・可視部の発光と吸収スペクトルによる検討:KrFレーザー照射下では可視・紫外部に発光を観測した。特に327nm近傍の発光は強くその寿命は120ns程度である。これはXeSからのエキシマー発光ではないかと推測した。また、S原子が存在することは、KrFレーザー照射後の結晶を466.6nmで励起し、820nm近傍に発光が見られることから確認した。同時に吸収スペクトルによりXeSに対応する吸収とSHに同定できる吸収が認められた。以上の結果から、低濃度のH_2Sを含むXeの自立型結晶においても、ArやKrマトリックス中と同様の光分解プロセスが起こっていると推定した。(2)赤外吸収スペクトルによる検討:固体中でH_2Sがどのような状態で存在しているかを知り、またH_2Sの減少を直接追跡するために、Xe中にドープしたH_2Sの赤外吸収測定を行った。2573cm^<-1>にダイマーの吸収、より高波数にモノマーの吸収を同定した。KrFレーザー照射によりこれらのピークは減衰することを見いだし、その速度は結晶の中の存在状態によることを明らかにした。以上の検討により、光分解が進行することを明らかにし、そのトンネル効果の検討の準備が整えられた。
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