一次元フレンケル・コントロヴァ模型において、転位(キンク)の位置座標と、転位によって誘起される歪みのまわりにおける原子の個別運動を表す座標とを導入し、その間に拘束条件を導入し、さらに、それぞれの座標に対応する運動量についても拘束条件を導入することができて、ディラック括弧による力学系を定式化した。その括弧を量子化して、一応量子力学的運動方程式を導くことが出来るが、輸送係数を求めるための摂動論を定式化する困難がある。 本研究を遂行する中で、マクロな非平衡熱力学にもシンプレクティックな構造があることが判明したい。その背後に巨視的変数に対するハミルトン力学系が存在することを示唆しており、ランダウ超流動の理論のように、巨視的変数の量子化の可能性が出てきた。 分子の回転と磁気緩和の関係を明かにするために、ゼーマン効果のg因子が異方性をもつ場合についての解析的計算を行ない緩和時間を磁場、回転速度、g因子で表した。
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