研究概要 |
本年度は、東シベリア地域を対象とし地上地点気象水文データセットの収集、時系列SSMIデータの作成、地上データからの積雪水量換算、20万分の1地図から領域の地表面状態の面積比率の読みとり、またETOPO地形データからの領域の地形情報の抽出を行い、林面積の多少、積雪深の大小という基準で選んだ代表的な4地点(Zhigans, Yakutsk, Isit, Vitim)についてピクセル単位での衛星計測積雪水(SWEsat)と地上導出積雪水量(SWEgnd)を比較した。なお、使用したアルゴリズムは北欧、北米について求められたGoodison (1993), Hallinenken (1992), Seve (1996)の3種類であった。 SWEsatは, Vitimを除く3カ所では地上積雪水量より多めであった。また、SWEsatの冬期最大のピークが早い時期(1〜2月)に表れていて、実際最大となる3〜4月に一致していないケースが多かった。アルゴリズム1のSWEsatがSWEgndに最も近い値を示したが、、Vitimでは大幅にずれていた。Zhigansk、Yakutsk 2カ所が森林面積が少なく(50%)、他2カ所が多い(95%)。全てのアルゴリズムとも、前2地点で大きい値、後2地点で小さい値を示した。また前2地点では積雪の多い方が大きい値を示しているのに対し、後2地点ではその逆の傾向であった。同じ場所、たとえばZhiganskとYakutskは必ずしもSWEgndの多い年にSWEsatが大きいわけではない。しかし、VitimとIsitは3年間であるが年々の相関がある。3つのアルゴリズムはこのままではこの地域に適用可能とは言い難く、しもざらめや森林の影響を評価する必要が認められた。今後は解析の地点数、領域を増やし、森林の影響、年々のSWEの変化をSWEsatが表しているかなどを検討していく予定である。
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