研究課題/領域番号 |
08242205
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
水林 博 筑波大学, 物質工学系, 教授 (40114136)
|
研究分担者 |
谷本 久典 筑波大学, 物質工学系, 講師 (70222122)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
|
キーワード | 非晶質合金 / 原子の集団的運動 / 異常通電効果 / 不均一塑性変形 / 均一塑性変形 / 超塑性 |
研究概要 |
非晶質合金は準静的引張試験では線形弾性を示すのに対し、振動リ-ド法による100Hz域での測定では歪振幅の増大に対して弾性率が上昇する顕著な非線形弾性を示すことを見出していた.この現象の原因機構には2つの場合が考えられ、引張試験での弾性率に比べ振動リ-ド法での弾性率が高い場合は通常の現象で擬弾性歪(遅れ歪)が振動測定では小さくなることに起因するのに対し、逆の場合は非晶質試料内で共鳴的運動が発現していることになりそのことを利用すれば低温域での均一塑性変形、さらには超塑性発現の可能性が考えられる.そこで引張試験、準静的曲げ試験および振動リ-ド法による弾性率の絶対値測定を非晶質Pd_<80>Si_<20>合金について進めたところ、振動リ-ド法による低歪振幅域での動的弾性率は10〜10^3Hz域では準静的引張試験や曲げ試験で観測される静的弾性率より低い値を示すことを見出した.この振動数領域が大変低いことから、個々の原子の共鳴的運動を考えるのは困難であり、原子の何らかの巨大な集団運動の存在を推測させる.一方、この現象とは独立に、10^7A/m^2程度の微弱な直流電流を非晶質合金試料に通じると構造緩和及び結晶化過程が大きな促進を受けることを見出し、この現象も何らかの原子の巨大集団運動を通じての電気泳動力の集中、換言すれば、通電下での内部応力の発生を推測させる.そうであれば、非晶質合金の動的弾性率が通電下で上昇する筈であり、このことは実験により確認した.以上の独立な実験結果の双方が原子の巨大集団運動の発現を示唆しており、その可能性は高いと言える.現時点では弾性域に留まっているが、それを塑性変形に結びつけることが出来れば均一塑性変形が発現する筈であり、今後の研究課題として準備研究を進めている.
|