研究課題/領域番号 |
08242206
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
市野瀬 英喜 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30159842)
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研究分担者 |
宮沢 薫一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (60182010)
伊藤 邦夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20010803)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1996年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 超微細結晶粒 / 原子構造 / 電子構造 / π結合 / 結晶粒界 / σ結合 / 超塑性 / 多結晶ダイヤモンド |
研究概要 |
本研究は超塑性現象を「構造」の立場から解析し、有用性の意図的獲得つまり設計の概念・手法を超塑性材料の開発に導入することを目的としている。具体的には、組織的共通項である“微細粒"を実現し、その材料について、電子顕微鏡による組織観察、電子線回折による方位関係の分布、高分解能電子顕微鏡による原子構造観察及び電子エネルギー損失分光法(EELS)による電子構造の解析を、主として結晶粒界に関して行った。材料はダイヤモンドである。ダイヤモンドは常識的には超塑性材料ではないが、超微細結晶粒が得やすく、EELSの測定と解釈が容易である点で、基礎研究に向いている。可塑ダイヤモンド創製への期待もある。数十ナノメートルレベルの超微細粒多結晶ダイヤモンドを、MOCVD法を改良することによって、作成することが出来た。組織は、ミクロンレベルの結晶が更に数十ナノメートルの結晶粒よりなる二重構造をなしている。粒界はΣ3CSLが最も多く、Σ9、Σ27がこれに続く。通称ランダム粒界は少ない。各粒界の滑り易さの目安となる結合のタイプと強さを、EELSによって調べたところ、規則粒界であっても3配位原子は、ダイヤモンドの硬さのもとであるσ結合ではなく、π結合によって周囲と結ばれていることが判明した。ダングリングボンドとしてエネルギーを上げてしまうSiやGeとはこの点が異なる。π結合の数は粒界の種類によって異なった。これは、グラファイトが滑りやすいことから想像できるように、σ結合とπ結合のバランスを、それぞれの粒界で案配することが出来れば、可塑ダイヤモンドが不可能でないことを示唆している。
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