研究概要 |
PbCl_2の低融点を利用して、PbCl_2溶融塩とBaTiO_3との反応を行うことによって、目的とする組成の(Ba,Pb)TiO_3固溶体粉末を合成した。ここで、適当な条件を選ぶと、BaTiO_3と(Ba,Pb)TiO_3がそれぞれcore(中心)とshell(周辺部)として一つの粒子中に存在し、shell-(Ba,Pb)TiO_3の組成も広い範囲で変えられる。この溶融塩反応を利用すると、粉末だけでなくBaTiO_3焼結体を用いても、粉末と同様に焼結体バルク中にもcore-shell構造を形成でき、このcore-shell間には、BaとPbの相補的な濃度勾配が存在した。次に、(Ba,Pb)TiO_3固溶体粒子とshell組成の異なるBaTiO_3-(Ba,Pb)TiO_3複合粒子の相転移を高温X線回折とDSCによって追跡した。その結果、(Ba,Pb)TiO_3固溶体粒子は480°Cで正方晶から立方晶へ相転移した。BaTiO_3-(Ba,Pb)TiO_3複合粒子の場合、core部分は150°Cで、shell部分は組成に応じて360〜430°Cと480°Cで正方晶から立方晶へ相転移し、このshell部分が広い組成分布を持つことが分かり、0.5≦x≦0.8とx=0.9であった。
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