研究概要 |
本研究の目的は,人間とメディアからなるメディア環境を対象として,その計算モデル(データモデル)化とデータベースを用いた管理方式を構築する基盤技術を確立することである. 社会の高度情報化による分散環境のユーザ層の拡大は,その利用方法の多様化をもたらしており,この分散環境の中では常に高度で多様な情報資源が創出されている.こうした状況の中では,ユーザの多様な要求に柔軟に対応することが必要であり,そのためのシステムのモデル化と管理,実システムの構築が必要である.これをふまえ,以下の3つを実現した. (A)メディアとその構造のモデル化 メディアシステムを構築・管理するためには,情報資源やメディアに加え,メディア間の関係構造までも表現できなければならない.本研究では,我々が開発した自律分散型計算モデル(マルチエージェント計算モデルを包含)に基づくこれらを表現する計算モデルを構築した. (B)メディア環境の計算モデル化 メディアは個人ごとに生成,利用されるため,これらを切り離して考えることはできない.そのため,我々がすでに確立した人間のコミュニケーション計算モデルと(A)の計算モデルを融合し,メディアとそれを用いるユーザを含めたメディア環境を表現する計算モデルを構築した. (C)メディア環境プロトタイプの構築 確立した計算モデルに基づきモデル化したいくつかのメディアとその構造を,我々の開発した分散環境記述言語DeLisを用いて実際に構築した.構築に際しては,我々が明らかにした人間のコミュニケーションのためのメディアを対象とした.これを通じて,(B)の計算モデルが高い表現能力を持つ事が明らかになった.
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