研究課題/領域番号 |
08245223
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
清水 真 三重大学, 工学部, 助教授 (30162712)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 有機金属試薬 / キレーション / ノンキレーション / ジアステレオ面選択性 / L-セリン / L-システイン / (+)-デオキシビオチン / フィトスフィンゴシン |
研究概要 |
金属のヘテロ原子への配位機能を活用する立体制御法の研究は最近活発に行なわれており、高い不斉誘起の達成のための欠くことのできない不斉合成手法となってきている。本研究ではL-セリンあるいはL-システインから容易に合成できるアルデヒドあるいはイミンへの求核付加反応において用いる金属種を選択することによりジアステレオ面選択性を高度に制御し、立体選択的に得られた付加生成物を適切に官能基変換することによりビタミンHとして広く用いられている(+)-ビオチンの鍵合成中間体である(+)-デオキシビオチンを光学的に純粋な形で合成することができた。さらに細胞間の情報伝達に重要な役割を持つ物質であるフィトスフィンゴシンも立体選択的に合成することができた。L-セリン及びシステイン由来のキラルイミンへの付加反応ではアセチリドの金属種にかかわらずいずれの条件下でもsyn-体を与えた。一方、システイン由来のアルデヒドへのClZnアセチリドの付加反応をおこなうことにより目的のsyn-体のみが選択的に得られることを見いだした。またHMPA存在下Liアセチリドはジアステレオ面選択性の逆転したanti-体を優先的に与えた。この様にして立体特異的に得られたsyn-体は適切に官能基変換することにより(+)-デオキシビオチンへ変換することができた。L-セリン由来のアルデヒドに対するジチアニルアニオンの付加反応ではLi塩-HMPAを用いることによりanti-体が優先して得られることを見いだした。次にanti-体から変換したアルデヒドへのn-ドデシルアセチリドの付加反応では金属種として(i-PrO)_3Tiを用いることによりanti-付加体を優先的に得ることができた。さらに官能基変換を行いフィトスフィンゴシンへ立体選択的に導くことができた。以上のように光学活性アルデヒドへの求核試薬の付加反応において、キレーションコントロールとノンキレーションコントロールの二つの概念に基づく立体化学の制御法により、両ジアステレオマ-の作り分けが容易にでき,得られた付加体は適切に官能基変換することにより生理活性化合物へ導けることを明らかにした。
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