研究概要 |
高分子の持つ局所構造と高次構造とをテンプレートとして、形態を制御したナノ細孔性鉄酸化物固体を創製し、その表面物性および固体物性の特異性を綿密かつ総合的な各種物性測定から明らかにし、新たな技術に対応できる高機能材料としての役割を明らかにすることを試みた。Fe(NO_3)_39H_2O・クエン酸・エチレングリコールを約373Kで反応させて細孔性鉄酸化物薄膜を調製した。Na/Fe=5atom.%に保ち(クエン酸)/Feモル比を2,4,8と変化させると、それぞれα-Fe_2O_3およびγ-Fe_2O_3の混合相が現れるが前駆体の有機成分量の増加にともない最終的に生成する鉄酸化物薄膜のγ-Fe_2O_3相が著しく増加し、また結晶子の配向性にも変化が現れることがわかった。N_2吸着等温線は全て低相対圧における吸着量の立ち上がりが大きいので、ミクロ孔を多量に持つことを示した。ただ、中相対圧領域においてもゆっくりと吸着量が増加しているので、メソ孔も有しているとみられる。PVA/クエン酸(wt.)=0.28の膜は細孔径2〜3.5nmのメソ孔を持ち、PVA量が増加すると細孔径が2nm以下のミクロ孔領域の細孔が生じることがわかった。
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