研究課題/領域番号 |
08246217
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
関 隆弘 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (40163084)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 水面単分子膜 / アゾベンゼン誘導体 / フォトメカニカル効果 / トランス / シス光異性化 / ブリュースター角顕微鏡 / 形態変化 |
研究概要 |
我々は、アゾベンゼンを側鎖に持つポリビニルアルコールの水面単分子膜が光照射で従来になく大きくかつ再現性の良い面積変化をもたらすことを見いだし、この現象の理解に向けての研究を進めている。そこで本領域研究の本年度は、微視的視野での応答挙動に関する知見を得る目的で、ブリュースター角顕微鏡(BAM)を用いて、光異性化状態と単分子膜の特徴、及び光照射に伴う形態変化の直接観測を進めた。ごく最近、単独のドメイン膜小片を追尾観測できる光照射型可動トラフ装置を製作することにより、従来得られなかった多くの新知見を得ることができるようになった。 6Azn-PVAのトランス体及びシス体(約90%含量)単分子膜の圧縮過程での各段階のBAM像を得た。圧縮前のトランス体単分子膜は固い直線的な輪郭を持つ多くの氷山様ドメインよりなり、圧縮に伴う表面圧の増大とともに完全ではないがしだいに均一化した。トランス体の膜は、力学的応力によって、クラックを生じ、剛性の高い膜であることがわかった。単分子膜の崩壊後は圧縮方向に垂直なストライプ状模様を与えた。一方、シス体の単分子膜は流動的で容易に変形するものであり、圧縮によって容易に均一な膜が得られた。単分子膜の崩壊後も反射率が大きく増大するのみで、均一な膜であった。 圧縮前0mN/mでのトランス体の膜へ紫外光をあてた際の6Azn-PVA単分子膜の形態変化を観測した。UV照射によりいずれもトランス体の膜で見られる直線的な輪郭を持つ氷山様のドメイン構造は失われ、にわかに流動化した。その過程はスペ-サ長の違いにより差異を生じた。2mN/mの圧縮下、UV→Visのサイクルで光化学的にトランス型の膜を容易に均一化できることも分かった。 下部から光照射が可能でX-Yステージを備えた小型トラフを自作し、単独膜ドメインの光照射下での追尾BAM観測を行った。この測定により、膜の伸縮挙動における光照射強度依存性、約5倍にも及ぶ非圧縮下での固有の膜変形挙動、膜の膨張過程での誘導時間の存在、可視光照射下での自己収縮性等、従来型のトラフでは得られなかった多くの情報を得ることができた。
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