研究概要 |
本研究は,都市の地域施設が,震災避難・復旧のコミュニティ活動の拠点として最適な役割を果たすための対応システムを構築することが目的である。研究実績をまとめると次のとおりである。 1 阪神・淡路大震災の避難所は,余震が続き,ライフラインが途絶した安全といえない場所に開設された。この問題は,地域施設の初期対応の実態調査から明らかになった。 2 多数の避難者を収容したのは学校である。その避難圈域の広さは,都市大火による避難圈の変形がない場合,半径500mにおさまる。そして学校が震災避難のコミュニティ活動の拠点となった。 3 コミュニティ(地域社会)における避難行動・避難生活は,神戸市と淡路島の実態調査によると,神戸市が住民主導型で,淡路島が行政主導型であった。そして,住民アンケート調査によると,神戸市では都市直下地震が再度発生した場合も,近隣の相互扶助に期待する人が多い。 4 神戸市において,学校が,さまざまな避難所への食糧や救援物資を受入て配布するキ-ステーションとして機能し,避難所間にネットワークを形成した例が長田区真野地区で観察された。 5 地震発生直後から,老人ホーム等の高齢者福祉施設は,要介護被災老人に対し,緊急ショートステイ,避難所への訪問介護支援を開始した。行政による支援発令は地震発生1週間後であり,初動の遅れが目立つ。行政の中枢が被災しても機能する対応システムが求められる。 以上の研究成果から,コミュニティに避難生活のネットワークのキ-ステーションとなる避難拠点の構築が提案された。
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