研究課題/領域番号 |
08248217
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
荒井 克彦 福井大学, 工学部・環境設計工学科, 教授 (00115289)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 斜面破壊 / 地震 / 補強土工法 / 振動実験 / 耐震効果 / 盛土斜面 |
研究概要 |
兵庫県南部地震では、化学繊維などによる補強土工法を採用した盛土斜面や擁壁の被害が少なかった。本研究は、室内模型実験や地震被災地でのケーススタディから、補強土工法の耐震効果のメカニズムを明らかにすることを目的とした。室内模型実験では、振動台と実験土槽を利用して、化学繊維で補強した盛土斜面と、補強していない盛土斜面の振動実験を行った。振動波形は正弦波とし、最大加速度・周波数を変えた多数の振動実験を行った。計測項目は、盛土斜面中の加速度分布、化学繊維に生じる応力、斜面破壊までの振動継続時間である。最大加速度や周波数が同じ場合でも、補強した斜面と補強しない斜面では、破壊までの振動継続時間に大きな差が生じ、補強材の耐震効果が明確に認められた。振動中に、補強材には引張り応力が働くことも確認した。地震による盛土構造物の破壊には、振動による盛土の累積変位が重要な要因であることが知られている。補強土工法は、破壊に到るまでの地盤の変形を抑制する効果があり、この効果が累積変位の蓄積を抑制していると考えられる。このメカニズムを数量的に表現するために、研究代表者が提案する、破壊時の変形を考慮しうる極限設計法に基づいて、補強材を用いた場合と用いない場合の、盛土斜面の破壊までの変位を推定した。この結果、補強材を用いた場合と用いない場合の破壊までの変形は、かなり近いことが分かり、上述のメカニズムを説明できることを明らかにした。一方、兵庫県南部地震の被災地で補強土工法を用いた盛土斜面の現地調査を行い、設計と被害状況を比較した。この結果に上記の計算法を適用して、実際の補強斜面での検討を行っている。上記の計算法に基づいて、補強した場合と補強しない場合の一般的な盛土斜面の耐震設計方法を得ることが今後の課題である。
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