研究概要 |
平成7年1月17日に兵庫県南部を中心に発生した地震は,大都市圏近傍で発生した内陸型地震で,市民生活に甚大な被害をおよぼし多数の死傷者をもたらした。被害は,地上構造物だけでなく地下構造物にもおよび,各種地下構造物の都市直下型地震に対する耐震性を検討する必要性に迫られている。 本研究では,都市直下型地震に対して,各種地下構造物の震害調査と耐震性に関する検討を行うことを目的としている。 まず,兵庫県南部地震で損傷を受けた地下構造物だけでなく,受けなかった地下構造物に対しても被害の調査を行い,それぞれの構造物に作用した地震動(直下型特有のもの)の特定,地形・地盤構造,構造物の形状,構造材料の特性,施工法を考慮に入れた総合的な評価を行う。これに関しては,山岳トンネル,都市部シールドトンネル,地下街,開削工法による地下鉄駅舎部等の情報が,被害の有無あるいは大小にかかわらず130件,先に述べた項目について整理を行い,項目と簡単な内容をデータ化している。これらは,今後行われる解析や検討の基礎資料となるものと考える。 以上のような調査研究から,地下構造物は震害は,地上構造物に比べ軽微なものであり,開削工法による構造物に集中している傾向がある。また,同じ開削工法でも,地下街には被害はなく,駅舎部のような長手方向のある構造物で被害が多く見られた。また,地質の境界があるような地域は,振動が増幅し被害をもたらしている傾向を確認出来た。
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