研究課題/領域番号 |
08249205
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
原田 繁春 東京大学, 薬学部, 助教授 (80156504)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1996年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 亜鉛プロテアーゼ / X線解析 / 触媒機構 / 構造・機能相関 / シンクロトロン放射光 / Streptomyces caespitosus |
研究概要 |
放線菌Streptomyces caespitosusが菌体外に分泌する亜鉛プロテアーゼ(ScNP)は分子量14,500と最も小型の亜鉛プロテァーゼで、これまでに見いだされている亜鉛プロテァーゼとは一次構造上の類似性は全く無い。芳香族アミノ酸側鎖、特にチロシン残基のN末端側を特異的に加水分解する。本研究ではScNPの構造・機能相関を1.6Å分解能の結晶構造(R値16.6%)を基に考察した。ScNPは5本鎖βシート、3本のαヘリックスとそれらをつなぐループからできており、2本目のヘリックス上に亜鉛プロテアーゼに共通に見られる配列H83E84XXH87が存在している。共通配列中のHis83とHiS87、Asp93の側鎖、水が亜鉛に対し4面体配位し、水分子にはさらにGlu84が水素結合している。Aspが配位子になっているのは亜鉛プロテアーゼでは初めての例である。このような配位構造は亜鉛に配位した水分子がGlu84の側鎖によって活性化され、基質中のカルボニル炭素を求核攻撃するというメカニズムを支持する。さらに、亜鉛の近傍には芳香族アミノ酸の側鎖がすっぽりと納まるようなポケットが存在している。このポケットに芳香族アミノ酸側鎖が入ることによってScNPは基質の加水分解部位を認識しているものと考えられる。また、ScNP中に存在しているカルシウムイオンが立体構造の安定化に果たす役割についても明らかにすることができた。ところで、蛋白質分子がどのような反応場を提供しているのか、その結果亜鉛はどのような役割を担っているのかをもっと精度良く知ること、反応に関わっている水素原子の位置を明らかにしそれをもとに反応のメカニズムを考察することを目的として、さらに高分解能の構造解析を目指した。その結果、実験質のX線発生装置で1.0Å、シンクロトロン放射光で0.8Å分解能のデータ測定に成功した。現在、このデータを使ってさらにScNPの立体構造精密化を行っているところで、水素原子が見え始めてきている。
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