研究概要 |
1.ナタネ(Brassica napus L.cv Nohrinn 18)の種子を暗所24℃で2日間培養し発芽させた後、16時間のホモルクス光条件下で発芽実生の下胚軸の伸長を観察した。強光条件(100-116μmol m^<-2>s^<-1>)と弱光条件(33-45μmol m^<-2>s^<-1>)で生育させた(吸水後5.5日目)のナタネ発芽実生から、下胚軸の最上部1.2cmを切り取り、下胚軸よりRNAを単離した。RNA10μgを用い、CCT1およびCCT3に対するcDNAをプローブとしてノーザンハイブリダイゼーションを行った。CCT1をプローブとした場合、弱光条件と強光条件では、下胚軸のCCT1mRNAの蓄積レベルに違いが見られ、その相対比は、1:0.78であった。一方、CCT3をプローブとした場合でも、弱光条件と強光条件でのCCT3mRNAの蓄積レベルの比は1:0.62となり、CCT1の場合と同様の傾向を示した。以上の結果は、下胚軸の伸長速度の速い弱光条件下では、伸長速度の遅い強光条件に較べて、必然的により高いレベルのリン脂質合成がおこるに違いないという我々の考えを支持する。また、下胚軸伸長とリン脂質合成酵素遺伝子の発現調節が密接に連動していることを示したはじめての知見である。 2.Price-JonesとHarwood(1983)は、オーキシンによって伸長が促進されるエンドウの第三節間の茎切片からCCT粗酵素抽出液を調製し、オーキシンがエンドウ細胞破砕液中のCCT酵素活性を阻害するという奇妙な結果を報告している。そこで、CCT1酵素(以下、CCT1pと略す)を過剰発現した大腸菌BL21(DE3)から調製した無細胞抽出液を陰イオン交換カラムクロマトグラフィ(HiTrap Q,Pharmacia)に供し、CCT1pを酵素比活性にして1,200倍まで精製した。この精製標品を用いて、CCT1pの活性を10μM 2.4-D存在下で測定したが、2.4.-DはCCT1pの活性を全く阻害しなかった。
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