研究概要 |
1)タバコの祖先種であるN.sylvestrisのゲノムライブラリーを、タバコEREBP1‐4のcDNAをプローブとしてスクリーニングを行い、λ18a、λ18c、λ15Lの3つのクローンを得た。ORFの推定アミノ酸配列はEREBP2,3,4のcDNAのそれらに対し、それぞれ92%,93%,77%の同一性を示した。いずれの遺伝子にもイントロンは存在せず、それらの5'非転写領域には、お互いに相同な領域は認められなかった。また、プロモータ領域の配列を解析した結果、単離決定した領域には塩基性PRタンパク質で認められたようなエチレン応答性シス因子(AGCCGC配列)は存在しないことが明らかとなった。進士らによりEREBP遺伝子そのものもエチレンにより誘導を受け、また根や培養細胞において発現することが認められているが、上記の結果よりこれらEREBP遺伝子の発現制御はAGCCGC配列を介した制御とは異なる機構によっている可能性が示唆された。 2)単離したEREBP2,3,4遺伝子それぞれについて0.6‐1.5kbのプロモータ領域とGUS遺伝子の融合遺伝子を構築し、形質転換タバコ植物を作成した。形質転換タバコを用い、エチレンに対する応答を調べた結果、EREBP2‐4いずれの形質転換体も強弱はあるものの、エチレンにより発現が誘導されることを認めた。なお、EREBP3遺伝子がもっとも顕著なエチレン誘導性を示した。一方、組織特異的な発現を検討した結果、いずれの遺伝子も培養細胞で強く発現していることを認めた。また、EREBP3ならびに4は根においても培養細胞とほぼ程度に強く発現していることを認めた。
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