研究課題/領域番号 |
08254201
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小林 悟 筑波大学, 生物科学系, 講師 (90225508)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1996年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | ショウジョウバエ / 極細胞 / 生殖細胞 / Nanosタンパク質 / エンハンサートラップ |
研究概要 |
多くの動物種で生殖細胞の形成に関わる因子が卵の一部の細胞質に局在する事が示唆されてきた。最も解析の進んでいるショウジョウバエでは、生殖細胞の形成に関わる因子が卵の後極の細胞質(生殖質)中に局在し、この細胞質を取り込む極細胞のみが生殖細胞に分化できることが明らかになっている。しかしながら、極細胞中に取り込まれる因子の実体は明らかになっていなかった。細胞質移植実験から、生殖質は生殖細胞形成因子とともに腹部形成因子をも含む事が示唆されてきた。また、遺伝学的解析からこれらの2つの因子は共通の機構によって生殖質に局在する事や、腹部形成因子の実体がNanosタンパク質である事が示されてきた。本研究では、このNanosタンパク質が、極細胞から生殖細胞への分化に関わる因子の1つがである事を以下のように明らかにした。また、結果は省略するが、極細胞の分化に関わる因子としてPgcRNAと命名した新規のRNAも同定した。 Nanosタンパク質を欠くnanos突然変異胚では、極細胞は正常に形成されるが、腹部欠失により致死となるため、形成された極細胞が成虫の生殖巣内で生殖細胞に分化するか否かは容易に調べられない。そこで、nanos突然変異胚の極細胞を腹部が正常に形成される胚へと移植し、その極細胞の発生運命を調べたところ、Nanosタンパク質を欠く極細胞は生殖巣に侵入できず、そのため機能的な生殖細胞に分化できないことが明らかとなった。また、Nanosタンパク質は、生殖巣に取り込まれた後に極細胞中で開始する遺伝子発現(cyclin Bタンパク質の発現や、特定のエンハンサーの活性化)時期の決定に必須であることも明らかとなった。おそらく、Nosタンパク質は、生殖巣に取り込まれた後に極細胞中で開始する遺伝子発現を移動過程にある極細胞中で抑制することにより、極細胞の生殖巣への移動を正常に進行させる働きを持つと考えられる。
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