研究課題/領域番号 |
08254206
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
影山 龍一郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80224369)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | ヘリックス・ループ・ヘリックス / 神経分化 / 網膜 / ノックアウトマウス / 遺伝子ターゲッティング / 転写因子 |
研究概要 |
哺乳動物の神経分化機構を転写因子のレベルで明らかにするために、中枢神経発生の良いモデルである網膜に注目し、HLH型因子HES1やMash1のノックアウトマウスを解析した。 HES1は、網膜では神経前駆細胞に発現しているが、分化したニューロンには発現していない。レトロウイルスによりHES1を持続発現させると前駆細胞からニューロンへの分化が抑制される。すなわち、HES1は神経分化抑制因子として機能する。HES1ノックアウトマウスの眼を調べたところ、小眼症やレンズの欠損などがみられた。網膜ではニューロンへの分化が正常よりも早く進行しており、層構造が乱れ、異常なロゼット構造を形成していた。したがって、HES1は分化のタイミングを決定して眼の形態形成を制御することが明らかとなった。このとき、HES1欠損で網膜におけるMash1の発現が増加していたことから、Mash1の活性増強によって神経分化が正常よりも早く進行したのではないかと考えられた。 HES1ノックアウトマウスの解析結果から網膜ニューロンの分化にMash1の関与が示唆されたので、Mash1のノックアウトマウスの網膜をしらべた、その結果、Mash1欠損で神経分化が遅れたり、ニューロンの減少がみられた。したがって、Mash1は網膜での神経分化を促進することが示された。また、HES1はMash1の発現を抑制することによって神経分化を一定の速度に制御していると考えられた。以上の結果から、神経分化を誘導あるいは抑制するHLH型因子があり、これらの因子がバランス良く機能することによって神経系の形態形成が進められると結論づけられた。
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